難病・慢性疾患分野における「情報の偏り」と構造的課題
日本の難病・慢性疾患分野では、患者団体やその連合組織、準加盟団体などが大きな役割を担っている。一方で、情報発信や支援の流れが、特定の患者コミュニティや後押しする団体側に集中しやすい構造もみられる。
本来、多様な立場の専門家や当事者、地域の声が交わることが望ましい。しかし、長年同じ専門家や関係者が中心となり続けることで、情報や人間関係が固定化しの影響を懸念する声もある。結果として、新しい視点や外部の意見が入りにくくなる場合がある。
また、難病相談支援センターについても、都道府県ごとの差は大きい。予算や人材が充実している地域では、多職種連携や支援のハブ機能が進む一方、予算不足の地域では専門人材が不足し、十分な支援体制を築けないケースもみられる。
受託団体はいくつかにわかれるが、構造として患者運動の延長に自治体の難病相談支援センターが関連している傾向があるため、配信される情報も中間連合組織との影響がみられる。(地域の公益性と支援のハブとなる組織構造と公共・公益性の課題)
一方で、近年、中間組織の連合組織に外部財団法人などの関与が見られる。しかし、財団法人への出資元や資金の流れが一般には見えにくい場合もあり、実質的な影響力に対する透明性の課題が指摘されている。
患者支援は、本来「誰のための支援なのか」が問われ続ける必要がある。だからこそ、日本社会には、情報の多様性と透明性を確保し、地域差や閉鎖性を超えていく仕組みづくりが求められている。
事例
テレビ番組で専門家として出演したコメンテーターが、全員、難病団体連合の中間組織の関係者(肩書きだけでは、わからない)
患者運動と関連した連合組織からだけの情報の場合、流れにくい、発信されにくい情報もみられ
また、製薬業界などとの関与、関係性もみえにくく、日本全体に発信される情報は多様性があるのが望ましいのではと考える。
継続研究。
「このデータベースでは、製薬会社から医師個人や大学や病院などの研究施設に支払われた金額を調べることができます。個別に公開されている膨大なデータを整理・集計することで、製薬業界から医療業界への資金提供の全体像を透明化しました。」 外部リンク
私たちは日々、「今話題の○○」「注目のテーマ」「社会が関心を寄せる課題」といった情報に触れています。しかし、そのすべてが自然発生的な関心の結果とは限りません。
現代では、大手広告会社やPR会社、メディア、企業、各種団体が連携し、戦略的に話題を生み出すことがあります。これはマーケティングや広報活動として一般的な手法であり、新しい商品やサービス、社会課題を広く知ってもらう上で一定の役割を果たしています。
一方で、その影響力が大きくなるほど、社会にいくつかの課題も生まれます。
まず起こりやすいのが、「本当に重要な課題」と「注目される課題」の逆転です。資金やネットワークを持つ組織は、多くの人の目に触れる機会をつくることができます。しかし、資金力の乏しい小規模団体や当事者の声は埋もれやすくなります。その結果、社会的な深刻さよりも、話題性や拡散性が優先されることがあります。
また、トレンドが形成される過程が見えにくいことも問題です。テレビ番組、SNSキャンペーン、インフルエンサー発信、記事広告などが複合的に展開されると、人々はそれを「自然な世論」だと受け取りがちです。しかし実際には、多くの企画や戦略が背景に存在している場合があります。
さらに、社会課題がブランド化される危険性もあります。本来は当事者の困難を解決するための活動であっても、組織の認知向上や事業拡大が目的化すると、「誰のための活動なのか」が曖昧になることがあります。課題解決よりも、プロジェクトの継続や影響力の維持が優先されるケースも見られます。
もちろん、広告会社そのものが問題なのではありません。問題は、影響力の大きな主体が社会の関心を動かす際に、その過程や利害関係が十分に見えないことです。
だからこそ私たちには、
なぜ今このテーマが注目されているのか 誰が発信しているのか 誰が利益を得るのか 注目されていない人は誰なのかを考える視点が求められます。
トレンドを見るときは、「何が話題になっているか」だけでなく、「なぜ話題になっているのか」を問い直すことが重要です。その視点が、多様な声が届く社会を支える第一歩になるのかもしれません。
この図は、多様性(ダイバーシティ)や障害者・難病患者支援、教育、雇用、地域共生社会などでよく使われる「排除→隔離→統合→包摂(インクルージョン)」の違いを示したものです。
① 排除(Exclusion)
左端
特定の人たちが集団の外に置かれている状態 参加する機会そのものがない 声も届かず、存在が見えなくなりやすい例
学校に通えない 働く機会が与えられない 会議や意思決定の場に呼ばれないキーワード
「そもそも中に入れない」
② 隔離(Segregation)
左から2番目
グループには所属しているが別の場所に分けられている 配慮はあるが分離されている例
障害者だけの施設 特定の人だけ別室対応「いるけれど別扱い」
*就労継続支援事業も実際には隔離性はあるかもしれません。
③ 統合(Integration)
左から3番目
主流の集団の中に参加できる ただし、少数派が多数派に合わせることを求められるキーワード
「中には入れたが適応するのは本人」
④ 包摂(Inclusion)
右端
誰もが最初から構成員として認められている 環境や制度の側も変わる 違いを前提に仕組みを設計する例
障害や難病の有無に関わらず働ける職場設計 患者・家族・支援者が対等に意見を出せる会議 多様な参加方法が用意されているキーワード
「違いがあって当たり前」
難病患者支援や患者団体の課題では、
排除 → 当事者の声が届かないただし実際には、患者団体や支援の現場では「インクルージョン」という言葉が使われていても、
発言できる人だけが代表になる 一部の疾患だけが注目される 制度を利用できる人だけが参加できる。といった「見えない排除」が残っていることもあります。そのため近年は、「誰が参加しているか」だけでなく、
「誰の声が届いていないのか」
を問い続けることが、本当のインクルージョンにつながると考えられています。
難病・慢性疾患分野における「情報の偏り」と構造的課題
日本の難病・慢性疾患分野では、患者団体やその連合組織、準加盟団体などが大きな役割を担っている。一方で、情報発信や支援の流れが、特定の患者コミュニティや後押しする団体側に集中しやすい構造もみられる。
本来、多様な立場の専門家や当事者、地域の声が交わることが望ましい。しかし、長年同じ専門家や関係者が中心となり続けることで、情報や人間関係が固定化しの影響を懸念する声もある。結果として、新しい視点や外部の意見が入りにくくなる場合がある。
また、難病相談支援センターについても、都道府県ごとの差は大きい。予算や人材が充実している地域では、多職種連携や支援のハブ機能が進む一方、予算不足の地域では専門人材が不足し、十分な支援体制を築けないケースもみられる。
受託団体はいくつかにわかれるが、構造として患者運動の延長に自治体の難病相談支援センターが関連している傾向があるため、配信される情報も中間連合組織との影響がみられる。(地域の公益性と支援のハブとなる組織構造と公共・公益性の課題)
一方で、近年、中間組織の連合組織に外部財団法人などの関与が見られる。しかし、財団法人への出資元や資金の流れが一般には見えにくい場合もあり、実質的な影響力に対する透明性の課題が指摘されている。
患者支援は、本来「誰のための支援なのか」が問われ続ける必要がある。だからこそ、日本社会には、情報の多様性と透明性を確保し、地域差や閉鎖性を超えていく仕組みづくりが求められている。
事例
テレビ番組で専門家として出演したコメンテーターが、全員、難病団体連合の中間組織の関係者(肩書きだけでは、わからない)
患者運動と関連した連合組織からだけの情報の場合、流れにくい、発信されにくい情報もみられ
また、製薬業界などとの関与、関係性もみえにくく、日本全体に発信される情報は多様性があるのが望ましいのではと考える。
継続研究。
患者の連合団体は、当事者の声を社会や行政へ届ける重要な役割を担っています。しかし一方で、財団法人や民間企業との関与において、「資金の出どころ」「助成や委託の基準」「誰がどの目的で関与しているのか」が見えにくい構造が課題となっています。
特に、実際には日本社会の慢性疾患の方々に非常に影響がある任をされる中間組織に対して、民間資本や特定企業の意向がどの程度影響しているのかが不透明な場合、利益相反や中立性への懸念が生じます。
また、患者情報や相談データなどの取り扱いにおいても、利用目的や管理体制の明確化が求められています。
信頼される支援には、透明性・倫理性・説明責任の強化が不可欠かもしれません。
製薬業界との利益相反の透明性の課題を解消できない場合は、公益性のある事業や役割とは切り分け、公益性の任を果たせる仕組みなど、あらたに整備・わける、つくる必要もあるのかもしれません。
人材紹介ビジネスの収益構造障害者向け転職エージェントの多くは、企業に人を紹介採用成立年収の30-40%を紹介料として受け取るという成功報酬型です。(比率には違いがみられる)
つまり収益上は、深く伴走することより早く決めることの方が利益効率が高い。
ここに加えて障害者雇用市場では、法定雇用率ESG企業イメージ助成金雇用率未達ペナルティ回避など企業側の需要が非常に強い。
結果として、「一定数の登録者を回転させる」モデルが成立しやすい。
特に障害者雇用で起きやすい問題ここが重要です。一般転職なら、スキル実績年収が主軸になります。
でも障害者雇用は、配慮事項 体調の波、通院、感覚過敏、疲労特性、コミュニケーション特性、キャリア断絶、自己理解、病気受容など、「言語化の難しい部分」が非常に大きい。
本来ここには、丁寧なヒアリング、自己整理、認知整理、職務分析、合理的配慮、企業との翻訳が必要なんです。
でもそれは時間がかかる。だから効率型モデルでは、「求人送付中心」になりやすい。
安易なビジネス化が効率化、生産性の価値と置き換わる。
実際、専門家側も「質」の問題を指摘している例えば厚労省周辺では、「形式的雇用」「雇用率達成だけ」「働きがいがない」「キャリア形成がない」という問題が強く議論されています。
雇用率だけでなくキャリア形成や長期継続雇用など“質”を評価すべきという声があがる。
研究・論文側での論点研究では大きく5つくらい論点があります。
① 「就職させる」だけでは不十分就労支援研究では昔から、「定着」「キャリア形成」「自己効力感」
「社会参加」まで含めるべきだと言われています。 つまり、“採用された”≠“支援成功”ではない。
② 障害特性の理解不足特に精神・発達・難病領域。研究でも、個別性が高い状態変動が大きい一律対応が難しいとされています。 でも効率型エージェントでは、そこを深掘りする時間が不足しやすい。結果、ミスマッチ早期離職二次障害自己否定感増大が起きる。
③ 「障害者雇用ビジネス化」への警戒最近はかなり強く問題視されています。特に、農園型雇用雇用代行実態の薄い雇用数合わせへの批判。 ここで重要なのは、「本人の人生」より「制度上の数字」が優先される構造。
④ キャリア支援の弱さ研究では、「障害者の適職」
という固定観念への批判もあります。 つまり、単純作業補助業務限定的職域ばかり回される。本人の可能性や成長が見られていない。
⑤ “支援者依存”構造これは現場ではかなり言われます。担当者の力量差が極端。深い支援者流し込み型営業型福祉理解が弱い人の差が非常に大きい。最近は「担当変更」の記事が出るほど。 一方で、全部が悪いわけではないここは冷静に見る必要があります。良いエージェントは確かに存在します。
例えば、書類添削、面接練習、合理的配慮の翻訳、企業との調整、定着支援、キャリア設計、自己理解支援までやるところもある。 ただしこれは、かなり「人依存」「組織文化依存」。
「障害者支援の名を借りた効率産業化」への違和感
しかも難病領域では、病状変動 疲労 認知負荷 医療との接続 長期人生設計が絡むので、単なる求人マッチングでは本来対応しきれない。
言語化コーディネート翻訳 認知整理 個別性 透明性は、むしろ今後かなり重要になる可能性があります。特に今後は、「雇用率を満たしたか」
より「その人が継続的に働けているか」に評価軸が移っていく流れがあります。 なので今後は、単なる紹介業ではなく、キャリア伴走 自己理解支援 地域接続 医療福祉連携 就労定着 本人主体を持つ支援が価値を持つ可能性があります。
人材紹介ビジネスは、残念ながら、ビジネス化し、商業形骸化したサービスもあるため、見分けていく必要がありそうです。
人材紹介市場は拡大を続けていますが、その一方で指導監督件数や法令違反への指導件数も増加しています。
背景には参入企業の増加による競争激化や、成約件数を重視するビジネスモデルがあります。
結果として、求人情報や労働条件の説明不足、情報の正確性の欠如などが課題となっています。市場の成長だけでなく、利用者への適切な情報提供と信頼性の確保が、今後の業界全体に求められています。
⚫︎ 利用者のポイント
求人票だけで判断しない信頼できる担当者かどうかを見極めることが、良い転職や就職につながる重要なポイントといえるかもしれませんが、
そもそもどんなビジネス構造になっており、誰、何が対象となっているか、
メリットやデメリットも考慮し、利用を考えてみられてはと思います。
サービス・ビジネスとのマッチング、自体のあり方、クオリティにはやや課題がありそうです。
製薬企業による「透明性ガイドライン」は、医療機関や医師への資金提供を公開することで、利益相反を可視化し、社会的信頼を維持することを目的としている。実際に、研究費、講演料、寄附金、学会共催費などが企業ごとに公開されるようになった点は、日本の医療業界における一定の前進と言える。
しかし一方で、「透明性」という言葉に対しては大きな課題も残されている。現在の公開は、多くの場合「どこに、いくら支払われたか」という金額中心の情報に留まりやすく、その資金が“何の目的で”“どのような影響を持ち”“患者や社会にどのような利益・不利益を与えたのか”までは見えにくい。
例えば、患者団体、学会、研究機関、メディア、支援活動などへの資金提供が、純粋な研究支援なのか、疾患イメージ形成や市場拡大、政策・世論形成と結びついているのかは、公開資料だけでは判断が難しい場合がある。また、資金提供を受ける側の意思決定構造や利益相反管理も、社会から十分見えないことがある。
本来の透明性とは、単なる「金額公開」ではなく、「資金の流れが社会にどのような影響を与えるか」を説明可能にすることである。特に、難病・希少疾患領域では、患者支援、創薬、啓発活動、メディア露出が密接に関係するため、誰が何の目的で情報発信を行っているのかを社会が理解できる構造が求められている。透明性とは、公開そのものではなく、「社会が検証できる状態」を意味するのではないでしょうか。
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障害者雇用で「業務の切り出し」が広がった背景には、企業側にも合理的な理由がありました。
法定雇用率を達成する必要がある 現場管理者が障害特性を理解していない 既存業務をそのまま任せることに不安がある 配慮をしながら雇用するノウハウが不足している
その結果、「まずはできる仕事だけ集めて任せよう」という発想になりました。
最初は雇用の入口を作るための工夫だったのですが、次第に「障害者雇用のための仕事を作る」
ことが目的化するケースが出てきました。すると、
シュレッダー データ入力 郵便物仕分け 会議室清掃 書類電子化などの業務だけが集められ、本来その人が持っている専門性 経験 資格 キャリア志向が活かされないという問題が起きました。
さらに近年は、障害者雇用ビジネスの拡大によって、「雇用率達成」そのものに価値が置かれる場面も増えました。すると評価指標が本人の成長 所得向上 キャリア形成ではなく、何人雇ったか 雇用率を達成したかになりやすくなります。
あなたが難病就労の分野で感じている違和感は、ここに近いかもしれません。難病患者の場合、本来の課題は病名ではない 希少性でもないことが多いからです。実際には、
疲労 疼痛 通院 体調変動 周囲の理解不足 キャリアの中断などが問題になります。
しかし「難病」という枠組みが強くなると、
難病患者向けの仕事を作ろうという方向に進みやすくなります。これは障害者雇用で起きた「業務切り出し」と似た構造です。さらに進むと、難病の人のための求人RDワーカーのための求人
希少疾患当事者のための仕事
という枠組み自体の維持が目的化する可能性があります。すると、本来は一人ひとりの働きづらさをどう解消するかという問いだったものが、
RDワーカーというカテゴリーをどう拡大するかという問いに置き換わってしまいます。これはユーザーさんが以前から指摘している
「制度や属性ではなく、人そのものの困りごとを見るべきではないか」という問題意識につながります。
その視点に立つと、障害者雇用の次の段階として必要なのは、「仕事を切り出す」ことではなく、
「仕事のやり方を調整する」
ことです。つまり、
リモート勤務 フレックス勤務 通院配慮 業務量調整 補助機器活用 チームでの役割分担などによって、
人を仕事に合わせるのではなく、仕事の側を調整する発想です。
難病就労でも、本来はこちらの方向のほうが、病名や希少性に依存しない持続的な仕組みになりやすいと思います。
広告・広報活動が社会的関心の形成に与える影響と情報流通の構造的課題に関する研究
研究背景
現代社会では、テレビ、新聞、インターネットメディア、SNSなど、多様な情報媒体を通じて社会課題や政策課題が認識されています。
一方で、企業、業界団体、行政機関、NPO、患者団体などの組織は、広告、広報、イベント、SNS発信などを通じて社会とのコミュニケーションを行っています。
近年では、従来の広告に加え、SNS広告、インフルエンサー活用、PR記事、オンラインイベントなどの手法が発達し、特定のテーマや課題に対する社会的関心を短期間で高めることが可能となっています。
このような環境の中で、
社会的関心はどのように形成されるのか 情報発信力の差が社会課題の認識にどのような影響を与えるのか 広告・広報と報道の境界はどのように変化しているのか
を検討する必要性が高まっています。
研究目的
本研究では、
「社会的に注目されるテーマがどのようなプロセスで形成されるのか」
を分析対象とし、
広告費、広報活動、メディア報道、SNS拡散などの要素が社会的関心の形成に与える影響を整理します。
また、
情報発信力を持つ主体 情報を受け取る市民 メディア 政策形成
の相互関係を可視化し、情報流通における構造的課題を検討します。
想定される構造的課題
1. 情報発信力の格差
社会課題の重要性と社会的注目度は必ずしも一致しません。
資金力や組織力を持つ主体は、
広告出稿 広報活動 イベント開催 調査発表
などを通じて情報発信機会を増やすことができます。
一方で、小規模団体や個人は情報発信機会が限定される場合があります。
その結果、社会的な重要度ではなく、情報発信能力によって注目度が左右される可能性があります。
2. アジェンダ設定効果
メディア研究では、「何を考えるべきか」に影響を与える機能を「アジェンダ・セッティング(Agenda Setting)」と呼びます。
特定のテーマが繰り返し報道・発信されることで、
人々はそのテーマを重要な社会問題として認識する傾向があります。そのため、どのテーマが取り上げられ、どのテーマが取り上げられないかという選択自体が社会認識に影響を与える可能性があります。
3. 報道と広報の境界の曖昧化
デジタルメディアの普及により、記事広告 タイアップ記事 スポンサーコンテンツ インフルエンサーマーケティングなどの手法が増加しています。
その結果、受け手にとって、独立した報道 広報活動 広告の違いが分かりにくくなる場合があります。
4. 利益相反の可視性
企業、団体、研究機関、患者団体、専門家などが連携すること自体は一般的な活動です。
しかし、資金提供や人的交流がある場合、その関係性が十分に共有されていなければ、情報の受け手が背景を理解しにくくなる可能性があります。
そのため、利益相反(Conflict of Interest:COI)
の開示方法や透明性の確保が課題として指摘されています。
5. SNSアルゴリズムによる増幅
SNSでは、閲覧数や反応数の高い情報が優先的に表示される傾向があります。
その結果、
広告や広報活動によって初期拡散された情報が、
アルゴリズムによってさらに増幅される可能性があります。
一方で、社会的に重要であっても反応が少ない情報は埋もれる場合があります。
6. 政策形成への影響
社会的関心が高まったテーマは、行政 政治 研究予算 制度設計などに影響を与える場合があります。
そのため、社会的関心の形成過程を分析することは、政策形成過程を理解する上でも重要なテーマとなります。
本研究の中心的問い
本研究では、特定の業界や組織を批判することを目的とするのではなく、
問い1
社会的関心はどのようなプロセスで形成されるのか。
問い2
広告・広報・報道・SNSはどのように相互作用しているのか。
問い3
社会課題の重要性と社会的注目度の間にはどのような関係があるのか。
問い4
透明性や利益相反の開示はどのように設計されるべきか。
問い5
多様な立場の人々の声が適切に反映される情報環境とは何か。
研究の意義
この研究は、特定のテーマや業界だけではなく、
医療、福祉、教育、環境、政治、消費者問題など幅広い分野に共通する課題を扱うものです。
情報が社会を動かす時代だからこそ、
「何が語られているか」だけではなく、
「なぜその情報が広がったのか」
「誰がその情報流通に関与しているのか」
「どのような構造の中で社会的関心が形成されているのか」
システム的な課題
情報格差 資金力のある主体
↓
発信量が増える
↓
露出が増える
↓
さらに注目が集まる
↓
影響力が拡大する
この循環が発生します。
一方で、資金を持たない当事者や小規模団体の声は届きにくくなります。
時折みかける、集団内でのある影響者による制裁・同調圧力行動による発信 特定の人物への疎外行動とは?
① リーダーの非言語シグナル(Nonverbal Cue)
リーダーが
目を合わせない 相づちを打たない 無表情 話を拾わない 話題を変える カメラ越しでも視線を逸らす
これらは非言語コミュニケーションです。
本人は意図していなくても
「この人は重要ではない」
というメッセージとして周囲が受け取ることがあります。
② 社会的参照(Social Referencing)
これは非常に有名な心理現象です。
人は「リーダーはどう反応したか」を見て、自分の反応を決めます。
つまり
リーダー
↓
メンバー
↓
さらに周囲
というように感情が伝染します。
③ 同調行動(Conformity)
もっとも有名なのは
Solomon Aschの実験です。人は「本当は違うと思っていても」多数派に合わせます。オンライン会議でもリーダーが「あの人はスルー」すると他の人も
「あ、触れない方がいいんだ」となります。
④ 社会的排斥(Social Exclusion)
心理学では
Social Exclusion
あるいはOstracism(オストラシズム)と呼ばれます。これは無視する 存在を認めない 発言を拾わない 仲間外れなどを意味します。
興味深いことに、暴言よりも
「完全に反応しない」
方が精神的ダメージは大きいことも知られています。
⑤ オストラシズム(Ostracism)
この研究で有名なのが
Kipling D. Williamsです。
彼は Cyberball実験という研究を行いました。
内容は
3人でボールを投げ合うゲーム
↓
途中から一人だけ
ボールが回ってこない
↓
数分で
孤独感 不安 自尊心低下 存在価値の喪失
が起こりました。オンライン会議は 実は Cyberballと非常に似ています。
発言だけ拾われない
名前を呼ばれない
質問されない
これだけで同じ心理が起きます。
⑥ 社会的伝染(Social Contagion)
感情や態度は 集団に伝染します。リーダーが
嫌そうな顔
↓
周囲も嫌そう
↓
さらに広がる
これを
感情伝染
と言います。
⑦ スケープゴート現象
集団は まとまりを維持するため
一人を「異質」として扱うことがあります。
すると その人が発言しても 提案しても
評価されにくくなります。
⑧ 集団浅慮(Groupthink)
Irving Janisが提唱しました。
特徴 リーダーに逆らわない 空気を読む 違う意見が消える 結果として組織全体が一方向に流れます。
⑨ 地位シグナリング(Status Signaling)
リーダーは
誰を見るか
誰に笑うか
誰の話を広げるか
によって
無意識に
「この人は重要」 という順位付けをしています。
周囲は非常に敏感に察知します。
⑩ ミラーニューロン・模倣
人間は
自然と
リーダーの
表情 姿勢 話し方 視線
を真似します。これを模倣効果といいます。
そのため リーダーが
「無視」
すると
集団も
「無視」
し始めます。
この一連の現象を図式化すると
リーダーが視線を外す
↓
非言語シグナルが出る
↓
社会的参照
↓
周囲が空気を読む
↓
同調行動
↓
無視・反応しない
↓
社会的排斥
↓
本人の発言がさらに減る
↓
孤立が固定化する
組織心理学では「沈黙の形成(Climate of Silence)」にもつながる このような現象が続くと、特定の個人だけでなく、組織全体に「余計なことは言わないほうがよい」という雰囲気が広がります。これは組織心理学では、沈黙の風土(Organizational Silence)と呼ばれ、問題提起や新しいアイデアが出にくくなり、心理的安全性も低下します。
リーダーの非言語的シグナリングを起点とした、同調圧力による社会的排斥(オストラシズム)
リーダーの非言語シグナル 社会的参照 同調行動 オストラシズム(社会的排斥) 組織的沈黙 心理的安全性の低下
が連鎖して生じる現象として、社会心理学や組織心理学で理解されます。
「誰の発言を拾い、誰をスルーするか」というリーダー、あるいは影響のある人物による何気ない非言語的な振る舞いが、意図的にも、無意識な行動によっても集団全体の行動規範や対人関係に大きな影響を及ぼすことが指摘されています。
シフトについて
・障害認定や雇用率算定の準備とこれからの働き方、就労や雇用の在り方
・治療と仕事の両立 採用時・復職復帰時 多様な両立環境の整備
・慢性疾患化する社会のinclusive & divercity 理念・文化・人間らしい働き方、仕事の在り方 人の暮らし、尊厳
難病や難治性の慢性疾患、障害には、非常に多様な状況があります。
疾患の種類や系統、症状の程度、進行の有無、生活への影響は一人ひとり異なり、軽症から重度まで幅広い実態があります。治療を続けながら働く人、生活を支える人、診断がつかないまま困難を抱える人など、その背景や課題も多様です。
日本では、「指定難病」という制度を通じた情報が社会に共有されやすい傾向があります。しかし実際には、指定難病の中でも主に医療費助成の対象患者数が中心に共有されることが多く、難病や慢性疾患を抱える人々の全体像や、社会の中で生じている課題が十分に可視化されているとは言えません。
また、日本においては、患者団体やその連合組織が、中間支援組織として重要な役割を果たしてきました。
制度整備、社会啓発、相談支援、患者同士の支え合い、行政との対話など、その功績や役割は極めて大きく、多くの患者や家族を支えてきた歴史があります。私たちは、その積み重ねと取り組みに深い敬意を持っています。
一方で、情報や視点が特定の領域に集中すると、社会全体における疾患や障害、慢性疾患の実態や、多様な困難の構造が見えにくくなる場合があります。
これは誰かを否定するということではなく、情報の偏りによる“副反応”とも言える現象です。
だからこそ、患者側の視点だけでなく、医療、福祉、就労、教育、地域、企業、行政、研究、家族、そして当事者一人ひとりの多様な経験や知見が社会の中で共有されること自体が、日本社会にとって重要であり、ポジティブなことだと私たちは考えています。
シフトは、特定の立場や領域だけに限定されず、難病を含む慢性疾患や障害について、多様な視点から現状を捉え、社会の中で何が起きているのかを具体的に把握し、課題や改善策を“机の上に乗せて議論できる状態”をつくることを大切にしています。
シフトは「運動」を目的とした活動ではありません。
既存の制度や枠組みから漏れてしまう人々、治療を続けながら働く人々、支援や理解につながりにくい人々の困難を社会全体の課題として捉え、その改善や解決策を、多様な立場の人々とともに考え、提案していく取り組みです。
近年では、難病患者の雇用率制度への算定や、障害認定の動きなど、社会制度も具体的に前進し始めています。
一方で、日本社会では慢性疾患を抱えながら生活する人々が増加しており、その状況は、軽症から重症まで、進行する疾患から進行しない疾患まで、多岐にわたります。
そのため、課題へのアプローチは一つ
というよりは、複数、多様なアプローチ
が必要
医療だけ、福祉だけ、就労だけでは対応しきれない現実があり、制度の谷間や支援の空白をつくらない視点が必要です。
私たちは、知る機会を提供し、ともに考える場をつくり、異なる立場や意見を持つ人々が対話できる機会を大切にします。
また、特定業界や特定の価値観に偏らず、公平性や社会全体の利益を踏まえながら、多様な専門家や当事者、多様な背景を持つ人々の声が反映される形で、試行錯誤を重ねながら取り組んでいきます。
どの疾患になったとしても、安心して生活の見通しを立てることができる社会。
治療を続けながら働くことや暮らすことが、特別なことではなくなる社会。
多様な支援、制度、サービス、地域資源につながり、安全・安心の中で暮らしていける社会。
シフトは、難病や難治性疾患に限らず、慢性疾患、障害、そして「治療をしながら生きること」に関わる社会全体の課題に向き合い、多くの皆さんとともに、これからの社会のあり方を考え、つくっていきます。